レーザー技術の進歩のPRK
●組織を蒸散させるエキシマレーザー
PRは眼科医が手で行う手術なのでどうしても正確さと言う点が課題でした。この点を改善するために注目されたのがレーザーでした。レーザーは他の光に比べて平行性・収束性・輝度が高く、微小製品の加工やガン治療など、さまざまなミクロ技術分野で近年応用が進んでいました。
角膜屈折矯正手術のレーザーとして使用されているのはアルゴンとフッ素で作られる紫外線を出す波長193ナノメートルのエキシマレーザー(Excimer Laser)です。
エキシマレーザーの特徴は、物質の原子間結合を切断するエネルギーが大きいことです。
人間の体を作っているたんぱく質はアミノ酸からできており、アミノ酸は炭素の化合物です。
エキシマレーザーをあてると炭素分子と炭素分子の結合を切る、すなわち組織を蒸散させてしまうのです。
他のレーザーの場合は熱によって物質を焼いたり固めたり、衝撃波によって物資を破ったりするのですが、エキシマレーザーは高いエネルギーによって瞬間的に物質を消滅させてしまうのです。
また、レーザーエネルギーが到達する幅(奥行き)が0.何ミクロンと言う非常に限られた範囲なので角膜のように薄い組織にとっては大変都合が良いのです。
エキシマレーザーをコンピュータ制御によって角膜表面に照射しながら少しずつ角膜を削り、屈折率を変えていくのがPRKです。
角膜のどの部分にどのように照射すれば、角膜を何ミクロン削り、どの程度の近視を修正することができるのかは、既に計算されているので手術前に回復視力を予測することも可能です。
手術ではコンピューターに必要なデータを入力するだけで自動的にレーザー光線が照射され、短時間で正確な治療をすることができます。
つまり、眼科医の技量はあまり必要とせず、短時間で手術を終えることができるのがPRKの特徴です。
角膜の形を変えれば屈折異常が治るとういう概念がコンピューターの進歩と結びついてPRKが誕生したのです。
●PRKの利点と問題
◇矯正可能度数:-1.5D〜-6.0D
◇利点
・矯正精度の向上
・眼科医の技量は要求しない
・術後屈折力の安定性
◇問題点
・手術直後数日間の眼痛
・術後の安定した視力への回復が遅い
・コストが高い
・照射ずれ
・角膜上皮下混濁、グレア
●PRKの問題
角膜の表面を削るといっても、表面全体を削るわけではありません。人の角膜の直径(黒目の部分の直径)は11〜12mm程度です。
しかし、私たちが物を見るために主に使っているのは、中心の3〜4mmんい過ぎません。
そこで、PRKでは中心の5〜6mmにレーザーを照射しながら組織を削っていきます。
「削る」と言っても全て均一に削るわけではなく、角膜に極端な段差ができないように削り方にはさまざまな方法があり、機械を開発している医療機器メーカーが技術を競っているのです。
角膜の一番外側には上皮という50ミクロンほどの組織があります。
PRKでは角膜の形を変えて近視を治療するために、角膜の本体である実質を削るわけですが、レーザーを照射する際に上皮も一緒に削ることになります。
そのため、上皮が完全に再生するまでに視力の回復に少し時間がかかります。
日常生活で使える視力である0.7や1.0には殆どの症例で手術後1週間程度かかります。
しかし、手術前によりよく見えるような安定した視力に回復する(視力の安定)まで、数週間かかるといわれLASIKに比べて視力回復が少し遅いと言うのがPRKの欠点です。
さらに、エキシマレーザーで削った後の角膜実質が少し混濁(ヘイズ)してくる人もいます。
また、角膜は非常に敏感な組織であるため、表面がある程度治るまで強い痛みをこらえなければなりません。レーザー照射によって組織を削る(蒸散させる)ということは、皮膚に擦り傷を作るようなものです。
それと同じことが、敏感な眼の上で起こっているのです。
術後に数日続く強い痛みを薬で抑えなければならないのがPRKの問題点です。
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